糖尿病専門医外来のページを開いて頂きありがとうございます。
従来の院長による内科診療に加えて、女医による糖尿病専門医外来を開設いたしました。
水曜午後と金曜午前・午後で予約優先制となります。
2型糖尿病のみならず、インスリン治療が必要な1型糖尿病や二次性糖尿病(ステロイド糖尿病・肝性糖尿病・膵性糖尿病)や妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠などの診療も行います。
また、糖尿病である方もそうでない方も、医師自らが、栄養療法を指導し、食事で補完できない栄養障害がある場合は医療用サプリメント処方しております(保険外診療)のでご活用頂ければ幸いです。
糖尿病について
糖尿病とは?
糖尿病とは、血糖値が上昇することで様々な代謝異常を生じ、全身の血管に動脈硬化と炎症を引き起こす疾患です。糖尿病を発症してすぐには無症状のことが多く、発症して数年で血糖値異常で気づかれることが多いのが現状です。
糖尿病は、1型と2型のほか、膵性糖尿病や肝性糖尿病、ステロイド糖尿病、妊娠糖尿病など特殊な病態も存在します。特殊な病態に合併する糖尿病を除いては、9割は2型糖尿病です。1型糖尿病はインスリンを分泌する膵β細胞の免疫異常や遺伝によるといわれていますが、詳細な機序は解明されておりません。
2型糖尿病の特徴
2型糖尿病は、健康診断では予備軍といわれていた方が、5年10年と長い年月をかけて糖尿病に至る慢性疾患です。予備軍(境界型糖尿病)の時期から、食事療法をはじめとする治療を開始することが、予防医学の観点では重要になります。
糖尿病になってしまった方の治療で最も大切なことは、「合併症を予防する」ことに尽きます。
合併症とは、主に全身の血管を痛めつける病態をいいます。
細い血管に起こる合併症は、神経障害(自律神経障害・手足のしびれ・胃腸障害など), 網膜症(眼が見えにくくなる), 腎症(足のむくみなどの腎機能障害) です。
太い血管に起こる合併症は、心筋梗塞・脳卒中(脳梗塞・脳出血)などで、これらは予告なく突然生じるケースが多いので救急受診で糖尿病と診断がつく事例もあります。
その他、感染症は見過ごせません。血糖値が高いと、免疫力が低下し、様々な感染症を生じ易くなります。
普通の健康な人が風邪で済むところが、糖尿病の方は肺炎になってしまったり、尿の感染症を繰り返して腎盂腎炎になってみたり、足先の傷が、膿んで腐ってしまったりと、様々な免疫低下症状を引き起こすのです。
1型糖尿病の特徴
口渇感・多尿や、糖尿病性ケトアシドーシスなどで救急搬送されて診断がついた時点で、インスリン治療が永続的に必要となる病態です。
1日4回のインスリン注射と血糖値測定を必要とし、食事の内容に応じて糖質量を見積もりインスリン投与量を決めて(カーボカウント)自己注射をすることになります。
当院では、認知症や廃用の進行で血糖測定や自己注射できなくなった1型糖尿病の患者様に対しては、当院の訪問診療部と連携し、治療継続が可能であります。場合によっては、細やかな血糖調整にインスリンポンプ(CSII)を使用することがありますが、その場合であっても当院での対応が可能です。
こんな方は受診をおすすめします
- 健康診断で血糖値の異常があると判定された
- 過去の健康診断で血糖値異常があり受診案内が来たのに受診しそびれた
- 食後にやたらと眠気があり仕事が手につかない
- やたらと喉が渇く
- 手足のしびれやこむら返りがある
- 夜間の尿の回数や尿量が多い
- 炭水化物や甘いものがやめられず、体重が増えてきた
- ジュースやカフェオレ・甘い炭酸水がやめられず体重が増えてきた
- 食べているのに、痩せて体重が減ってきた
- 傷の治りが悪くなった
- 視力が急激に落ちた
- 勃起不全(ED)がある(男性)
受診の流れ
初診の場合
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電話か受付にて希望日時を予約してください
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健康保険証の提出、受付票と初診問診票に記入してください
紹介状や過去の健診結果などあれば一緒にご提出ください -
診察・問診(約30分)
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採血・採尿・胸部レントゲン・心電図
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約20分お待ちいただきます
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血糖値とA1c値の結果をお伝えとお薬の処方、次回予約
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糖尿病連携手帳をお渡しします
眼科宛ての紹介状を作成します(要眼科未受診の場合)
インスリン治療開始となった方には、血糖自己管理ノートをお渡しします
療養指導を行います(約30分) -
お会計
診察券・眼科宛ての紹介状・次回予約票をお渡しし、終了
*初診時にインスリン治療が必要となった場合には、約1時間半は病院に滞在することになりますのでお時間に余裕を持ってお越しいただければ幸いです
再診の場合
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診察券・予約票・血糖自己管理ノート・残薬確認用紙を受付に提出してください
*リブレを使用中の場合は機器本体を提出してください -
診察(約10分)
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採血・採尿(施行の有無は都度相談)
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約20分お待ちいただきます
待ち時間の間に残薬確認と次回予約をスタッフが承ります -
血糖値とA1c値の結果をお伝えとお薬の処方
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お会計
次回予約票をお渡し・血糖管理手帳をお返しし終了
よくある質問
その日にA1c値と血糖値がわかりますか?
当日採血をすると、約20分でA1c値がわかるのでお伝えすることが可能です。
その他一般採血を希望する場合は、翌日に結果が分かります。
特記すべき異常等あればお電話でお伝えします。
またそうでない場合には次回再診時に結果をお渡しさせて頂きます。
インスリン治療や血糖測定器の管理は可能ですか?
可能です。インスリン注射の指導や血糖測定の指導も別室にて療養指導を行います。
インスリン治療の方に限り、従来の指先血糖測定穿刺による血糖値測定が保険適応となります。
持続血糖測定器「フリースタイルリブレ(以下、リブレ)」もインスリン使用している患者様に保険適応となります。リブレは、血糖値の「見える化」が可能です。毎回診察の度に、データの印刷・お渡しも承っております。またいずれの場合でも、血糖測定手帳の無料配布を行っております。
眼科や歯科、近隣機関への紹介状は書いてもらえますか?
承っております。糖尿病で当院へ通院されているすべての患者様に「糖尿病連携手帳」をお配りしています。
他院を受診した際にも手帳を提示すれば、治療内容や血糖の良し悪しが分かる様に配慮しております。
糖尿病の治療は全例インスリンになるのでしょうか?
病態により、飲み薬で治療可能な場合もあります。
1型糖尿病の場合は、永続的にインスリン治療となります。
2型糖尿病(糖尿病全体の9割を占めます)の場合は、詳細な問診診察と血液検査結果(外注項目)で判断することになります。
インスリンという血糖値を下げるホルモンを分泌する膵臓が弱まっている場合は、インスリン治療が必要になることがあります。インスリン治療を開始したとしても、膵臓のインスリン分泌能力が回復した場合には、インスリン治療を卒業して飲み薬のみで治療が可能となる可能性は十分にあり得ます。
また膵臓の状態が良ければ、最初から飲み薬だけで治療出来る場合もあります。
大切なのはインスリン治療であれ飲み薬の治療であれ、受診を先送りにせず、早い段階で糖尿病の治療を開始することです。
受診を先送りにすればするほど膵臓の疲労をきたし、インスリンが出にくくなり、合併症が生じやすくなります。
糖尿病の合併症の検査はできますか?
合併症の評価として、悪性腫瘍の合併などを視野に入れ、胸腹部のCT撮影を行う場合があります。
当院では施行できないため、担当医 (福井美典)の非常勤先である広島共立病院(安佐南区中須)の糖尿病内科にて精査を承ることが可能ですのでご安心ください。また、ABIや頸動脈エコーについても同様の対応となります。
膵臓や肝臓の病気やステロイドの影響で糖尿病になっているといわれましたが、治療可能ですか?
当院での治療が可能です。
食後の血糖変動をいかにコントロールするかが重要になってきます。2型糖尿病と同様、やはり合併症を回避することが目標になります。食事療法のみで良くなる場合もありますが、インスリン治療を開始する例が多いです。
インスリンを開始することで膵臓の負担を軽減でき、膵臓を守れる可能性がありますので、ご相談ください。また、食後血糖値を上げにくくするような食事療法についても、医師自らが指導をさせて頂きますのでご安心頂けたらと思います。
糖尿病であっても妊娠できますか?
現在、糖尿病と診断されていて妊娠を希望する場合は、「糖尿病合併妊娠」と診断されます。
その場合には、当院でインスリンによる厳格な血糖値管理を行う必要があります。妊娠を望む場合には、糖尿病の治療はインスリン一択となります。
理由は飲み薬で治療する場合、胎盤を通過して胎児へ重症低血糖の影響が及ぶ危険性があるためです。インスリンは胎盤を通過しませんので、妊娠中に安全に使用できる唯一の治療法となります。細やかな血糖調整には、インスリンポンプ(CSII)を使用することがありますが、その場合であっても当院での対応が可能です。
インスリン治療を開始したならば、出産予定の病院の、産婦人科の先生方と連携をしながら、妊娠維持の管理をしていくことになります。また出産前には、糖尿病網膜症をはじめとする粗大な血管合併症が無いことを確認する必要がありますので、眼科の先生へ紹介を致します。
出産にあたり、血糖管理目標値に達していれば、新生児合併症の頻度が有意に異なることも報告されています。日々の糖質を意識したお食事や、血糖の日内変動を把握しながらインスリン治療を継続管理していくことになります。近隣の産婦人科病院や眼科病院へのご紹介は、垣根なく行いますので、仰ってください。
妊娠中に妊娠糖尿病と言われましたがどうしたらよいですか??
妊娠前は糖尿病と言われていなかったのに、妊娠中に糖尿病を発症するケースがあり、これを「妊娠糖尿病」といいます。
通常、胎盤から放出されるホルモンの影響で糖尿病になる場合があるのですが、出産すると血糖値は正常に戻ることが多いです。
妊娠中は、インスリン治療による血糖管理が可能な施設に入院して治療を行う必要があります。細やかな血糖調整には、インスリンポンプ(CSII)を使用することがありますが、その場合であっても、出産・退院後に当院での治療継続が可能です。
また、妊娠中の妊婦健診では、血糖値が悪化していないか採血検査を行うとともに、眼科の先生とも連携し網膜症評価を継続的に行います。そして出産後もブドウ糖負荷試験を行い、妊娠糖尿病が完治しているかを確認する必要があります。
出産後には、当院での定期的な採血検査も可能です。その場合は、出産をしたかかりつけの産婦人科の先生から当院へご紹介いただければ幸いです。